にしき薬局 閉局のお知らせ

圧力をかけたら薬は入手できるのか

最近、お偉い方が言ったみたいですね。

「卸に強く言わないと医薬品が入荷されない」

この方自身、薬局を経営しているらしいので、非常に問題だと思います。

だって
「医薬品卸に」
「強く言ったら」
「医薬品を入荷して貰える」
ということなんですから。

最近、どこの薬局でも、医薬品の品薄が続いています。
影響を受けていない薬局はないんじゃないでしょうか。

どこでも不足している現状
方法としては、過去の実績に応じて割り当てになっているんです。
誰もが困っているので、他所の分を自分の所に融通しろ、と言っても優先はされません。
「卸側が」「実績で」「割り当てる」とは、そういうことです。
クレームの付け所がないんです。

それでも
薬局側から、薬を納品してくれる医薬品卸に対して
「困ってるから早く入荷して欲しい」と言うことは、あると思いますが
そこに節度を欠くと、問題が起こります。

中には
「即刻入荷しないと、お宅との取引を辞めるぞ」と言っちゃったり
「入荷遅れる分の責任を取れ、謝罪をしろ」と要求をしたり
「入荷しないで患者が死んだらお前(卸の担当)の責任だぞ」と脅したり
「薬の納品がお宅の仕事だ。メーカー欠品だろうが関係ない。即刻入れろ、入れないと入荷まで延々と電話し続けるぞ」というような
明らかに脅迫・恐喝と取れるような発言が、薬剤師によってなされるんですね。

冒頭の「強く言う」とは
言葉こそ柔らかいものの、脅迫・恐喝だと思われます。


自分は直接見聞きしたことがあります。
東日本大震災の時です。

その時
日本海側だったので、太平洋側の被害状況はすぐにはわかりませんでした。
少しずつ明らかになる被害は、とてもひどいもので
卸の倉庫は津波で浚われ、道路は瓦礫で通れず、車も流されたものもあり
長距離はガソリン流通の関係で、走るのを躊躇してしまうような状況。
道の関係上、日本海側は配送量が少なく、カバーできませんでした。

広域の在庫がゼロ、ルートが途絶、配送用車の手配がならず、燃料も不安定。

これだけ聞けば
近隣にある薬だけで対処しよう、と現場の人はすぐに切り替えるわけですが
当時の上司に当たる人は、上に書いたような言葉で卸の担当を怒鳴りつけるのでした。

では
怒鳴ったら、ゼロになった在庫が瞬時に復活するでしょうか。
恐喝したら、道路は元に戻り、車も戻ってくるのでしょうか。
恫喝したら、ガソリンが沸いてくるのでしょうか。

そんなの、不可能ですよね。

こちらは必死に、脅された担当をなだめる役でした。
卸の担当の出身が太平洋側で、知人が沢山いたそうです。
自分の家族が被災しているかも知れないのに、助けにも行けず
自分の失敗ではない欠品の嵐と、不足してる薬の手配に苦労してるのに
それで更に、他社の薬剤師に、怒られる。

こんな話は、すぐに他所に伝わりますからね。
自宅で話してるなら「薬入らなくて怒鳴っちゃったよ」で済むかも知れませんが
理不尽に怒鳴られた側が、忘れるはずもありません。

当時の対応で、医療関係者の中での薬剤師の信用は、地に落ちたと思っています。


そういうことを思い起こさせる発言を
薬剤師の代表が、公の場でしてしまうことの危うさ、ですよ。

個々の薬剤師や薬局単位では
急いで欲しいと言うことはあっても
あくまで「お願い」であって、強く言うようなことは滅多にありませんし
人が不足で届かないとなれば、薬局スタッフが取りに行くことだってあります。

そういう多くの人の努力を、一気に吹き飛ばしてしまった、と
この、お偉い方の発言を読んで、思ってしまいました。

世の中にないものはないし
世の中にあるものも、すぐに入荷するものと、そうでないものがあります。
それは薬でなくとも同じこと。

色んな方に接してきましたし、個性は様々ですけれども
潤沢にあるのに「在庫ないんで」と嘘をつくような方は、今までいませんでした。

真面目に仕事してる人が、報われて欲しいと、思います。


お偉い方から
「誤解を与える表現だった」なんて適当な言葉じゃなく
「自分が全面的に誤っていた」という正式な謝罪会見、ありますよね?

薬剤師の代表なんですから。

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